オープンダイアローグという魔法の治療

オープンダイアローグとは?

不勉強にも、私はその存在すら知らなかったのですが、

オープンダイアローグという非常に有効性の高い治療があるのだそうです。

神戸で開かれた第114回日本精神神経学会に参加して、

たまたま入った会場で、オープンダイアローグのシンポジウムが行われていました。

オープンダイアローグとは、フィンランドのケロプダス病院というところで、

1980年代に始められた、主に統合失調症の患者さんを治療するための手法らしいのです。

普通は、急性期の統合失調症の患者さんには、

患者さんの意志に反する治療が行われるのが一般的でしょう。

しかし、オープンダイアローグでは、

患者さん、主治医、看護師、その他の医療関係者、患者さんの家族や知人友人が治療に参加します。

妄想などの症状を含めて、治療の進め方やお薬を使うか使わないかまで、徹底的な話し合いが行われるのです。

このプロセスで患者さんの意志が無視されることはありません。

お薬が使われないことも稀ではありません。

それでも、従来のお薬を中心とする治療よりも良い結果になるのだそうです。

斎藤環筑波大学教授によれば、妄想というのは独白であり、その独白から抜け出すために、

他者との対話すなわちダイアローグが役立っているのらしいのです。

私の解釈では、恐らく妄想という独白は、

何度も何度も頭の中で繰り返されて、

○○は××かもしれない…

かもしれない…

かもしれない。

かもしれない!

かもしれない!!!

○○は××に違いない。

違いない!

違いない!!!

○○は××だ。

○○は××だ!!!

とかいうように確信された事実(客観的事実に対して心的事実という)となって、固定化していくのでしょう。

そういった妄想も、

オープンダイアローグによって、

他者からよーーーく聞いてもらえ、

真剣に親身になって質問されると、

妄想への確信が和らげられるのかも知れませんね。

オープンダイアローグという治療法は、これから色々なこころの病気に応用されていくかもしれません。

ただ一つ心配なのは、医師や看護師などの複数の医療関係者や家族知人友人といった多くの人たちが、

普通の外来面接で使える時間を、はるかに超える長さで患者さんと向き合うために必要とされる時間とコストの問題です。

オープンダイアローグの費用対効果比は、医療経済的に妥当なものとなるのでしょうか…

そうあって欲しいですね。

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