株価が下落傾向にある時にレバナスの買い増しは正解か?

下落相場
下落相場

レバナスとは?

レバナスとは「レバレッジ」と「NASDAQ100(ナスダック)」を掛け合わせた略称で、YouTuberの「風丸レバレッジ投資チャンネル」さんは自らが発案した呼称であると述べておられます。楽天証券さんもレバナスという呼称を使用しているようですけど、呼称に著作権はないでしょうし、レバナスという呼称が商標登録されたとの情報もありませんので、誰が使ってもいいのでしょう。

呼称の由来はともかくとして、レバナスはNASDAQ100の運用において、信用取引などの負債(他人資本)を使うことで、自己資金の2倍の取引をNASDAQで運用することで大儲けするための仕組みと言えるでしょう。

例えば、100円の投資で10円の利益が得られるような場合に、レバナスでは2倍のレバレッジをかけるので20円の利益(実際は手数料などが引かれる)が得られるような運用をするということです。逆に10円の損失が出たときには20円(実際にはこれに手数料などが加算される)の損失を被るリスクも負うことになるという怖い面もある投資信託です。

  • NASDAQ100:米国NASDAQ(ナスダック)市場の時価総額の大きい非金融業上位100社で構成される株価指数のこと。
  • レバレッジの倍率は「(自己資本+他人資本)÷自己資本」で計算されますが、レバナスの場合2倍となっています。

レバナスは株価下落局面で買ってもいいか?

結論から言えば、株価が下落している期間より、株価が上昇している期間がはるかに長くなるなら「買い時」です。しかし、株価が下落する期間と上昇する期間が同じくらいであれば損をしますし、下落している期間が長ければ大損します。また、上昇している期間が長くても、売却するときに株価が大幅に下落していれば損失を被ることになります。

要するに、レバナスは10年とか15年の超長期間ののちに抽選結果が出る宝くじを買うというような気持ちで、余剰資金のみを使って運用するバクチと考えるのがいいかも知れません。
-【注意】金融庁はレバナスは長期投資には向かず、大きな損失を被るリスクがあるとして注意喚起しています!

レバナス投資の素人シュミレーション

普通に株を買った時と、2倍のレバレッジのかかったレバナスで、相場が上がりも下りもしない状態(ここでは10%上がって10%下がってを5回繰り返したとき)と5%ずつ10回連続で下落した状態について、投資した元本がどれくらいになるかを計算してみました。

停滞相場での資産変化

停滞相場の時には、株価が下がるとレバレッジなしでは10%ほどの損失であるのに対して、2倍のレバリッジありでは20%の損失、逆に株価が上がるとレバレッジなしでは10%ほどの収益が得られるのに対して、2倍のレバリッジありでは20%の収益が得られます。上がり下がりを繰り返して株価が全体的に停滞している時には、レバレッジをかけていると保有しているだけで損失を被る可能性があるとの結果です。この値から手数料などの経費が引かれるので実際の損失はもっと大きくなります。

元本10000円上昇下落%レバレッジなしレバレッジ2倍あり
1回目10%↑11,000円12,000円
2回目10%↓9,900円9,600円
3回目10%↑10,890円11,520円
4回目10%↓9,801円9,216円
5回目10%↑10,781円11,059円
6回目10%↓9,703円8,847円
7回目10%↑10,673円10,617円
8回目10%↓9,606円8,493円
9回目10%↑10,566円10,192円
10回目10%↓9,510円8,154円
停滞相場


下落相場での資産変化

5%ずつ低下する下落相場の時にはレバレッジなしで約60%、2倍レバレッジありでは約35%にまで資産が減ってしまいます。怖いですね!

元本10000円上昇下落%レバレッジなしレバレッジ2倍あり
1回目5%↓9,500円9,000円
2回目5%↓9,025円8,100円
3回目5%↓8,574円7,290円
4回目5%↓8,145円6,561円
5回目5%↓7,738円5,905円
6回目5%↓7,351円5,314円
7回目5%↓6,983円4,783円
8回目5%↓6,634円4,305円
9回目5%↓6,302円3,874円
10回目5%↓5,987円3,487円
下落相場
大暴落

停滞相場後の株価上昇局面

このような状況の後に5%ずつ10回連続で株価が上昇した場合も計算してみました。まずは、停滞状況から上昇相場となった場合です。どんどん増えていきますね。停滞相場が続き、その後、上昇相場が続く場合には停滞相場の時にレバナスを買い増しするのは大きな収益につながります。

元本10000円上昇下落%レバレッジなしレバレッジ2倍あり
1回目5%↑9,986円8,969円
2回目5%↑10,485円9,866円
3回目5%↑11,009円10,853円
4回目5%↑11,559円11,938円
5回目5%↑12,137円13,132円
6回目5%↑12,744円14,445円
7回目5%↑13,382円15,890円
8回目5%↑14,051円17,479円
9回目5%↑14,753円19,227円
10回目5%↑15,491円21,149円
停滞相場後の株価上昇局面

下落相場後の株価上昇局面

次は、下落相場から上昇相場となった場合です。この場合、下落相場の期間と同じ期間で同じ割合で株価が上昇したとしても、レバナスでは収益は得られず損失が生じています。下落相場の時に買い増ししても損失が大きくなるだけでメリットはありません。上昇率がもっと大きい場合は利益が出るのでけど、下落率より上昇率が相当程度以上に高いか、上昇相場が下落相場の期間よりもかなり長く続かないと利益が得られない可能性があるということですね。

元本10000円上昇下落%レバレッジなしレバレッジ2倍あり
1回目5%↑9,605円3,836円
2回目5%↑9,701円4,219円
3回目5%↑9,798円4,641円
4回目5%↑9,896円5,105円
5回目5%↑9,995円5,616円
6回目5%↑10,095円6,177円
7回目5%↑10,196円6,795円
8回目5%↑10,298円7,474円
9回目5%↑10,401円8,222円
10回目5%↑10,505円9,044円
下落相場後の株価上昇局面

私見

上記の試算を基にして、下落傾向にある時にレバナスの買い増しは正解か否かということについて私なりの結論が、正しいか間違っているかは投資の専門家に尋ねなければ分かりませんけど、多くのレバナス擁護派のインフルエンサーが言うような「下落時のレバナスは買い時」というのは、間違いではないにしろ、下落後の上昇割合が相当に大きいとか、上昇する期間が相当長い場合でない限り、「レバナス下落時の買い増しは得策ではない!」ということになるのではないでしょうか?

上昇率や上昇期間は予測が立たないため、宝くじを買うように、失っても生活に影響のない余剰資金を将来の大儲けという夢のために投資するというマインドでなら、「レバナス下落時の買い増しはよし」としていいかも知れません。2022年6月時点で、今後、株価は1〜3年は下落する可能性があるとしても、その後の10〜15年間は上昇を続けると信じられるなら、今、レバナスは大いに買い時でしょうね。

なお、レバナスには「大和アセットマネジメントのiFreeレバレッジ NASDAQ100」と「楽天レバレッジNASDAQ-100」の2つがあります。興味ある方はリンクからご確認ください。このリンクはアフィリエイトではないのでご安心ください。

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