がんばらない片づけ——「使っている」と「心地よい」だけでいい

がんばらない片づけ

時間×片づけコンサルタントの下村志保美氏が、こんなことを言っています。「もったいない」「いつか使う」という気持ちを手放して、「使っているか」「心地よいか」だけで物を選ぼう——と。

これを読んで最初に思ったのは、「そうか、判断軸が違っただけなんだ」ということでした。

片づけられない人の多くは、物を捨てられないのではなく、物を「手放す理由」を持っていないのだと思います。「いつか使うかもしれない」は反論できない理屈で、「もったいない」は道徳的にさえ聞こえる。だからずっと、引き出しの中に何年も使っていない物が眠り続けます。

下村氏の見方はちょっと違います。「将来」ではなく「今」に軸を置く。手に取って「今、実際に使っているか」「あると心地よいか」——この二つだけを問えばいい、と。言われてみると、これは非常にシンプルで、しかも反論しにくい。今使っていない物は、今の自分には必要のない物です。

もう一つ、私がこの考え方に加えたいことがあります。

片づけを「一気にやろう」と構えないことです。「家全体をすっきりさせなければ」と決意した途端、人はなぜか動けなくなる。完璧な状態を想像して、そこに至るまでの遠さに気圧されてしまう。だから下村氏は「小さな範囲から始める」ことをすすめています。引き出し一つ、棚一段。それだけでいい。小さな「できた」が、次への意欲になります。

そしてもう一つの実践として、「全部出してから考える」というやり方があります。収納の中を見ながら考えていても、本当のことは見えてこない。一度すべて取り出してみると、「こんなに同じものがあったのか」という発見が必ずあります。物が見えて初めて、自分が何を持っているかがわかります。

もちろん、「でもやっぱりもったいない」と感じる人もいるでしょう。下村氏はそこも正直に言っています。使っていない物を持ち続けることは、スペースと時間と気力をじわじわ奪い続けている、と。それならむしろ、手放すことのほうが自分への誠実さかもしれません。

片づけは整理整頓ではなく、今の自分に合った暮らしを選び直すことだと、私は思っています。一度、「これは今の私が使っているか」という問いだけで、身の回りを見渡してみてください。

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