妊娠前から妊娠中にも葉酸サプリが必要な理由とは?
妊娠すると普段よりも多く栄養(多くの栄養素)をとらねばなりません。
というのも自分の体だけではなくてお腹の中の赤ちゃんにも栄養が行きわたるようにしなけらばならないからですね。
多くの栄養素をバランスよくとることはもちろんですけれど、とくに注意しないといけないのは「葉酸」です!
どうして「葉酸」がとくに大切なの?
「葉酸」が妊活に役位だつというわけではないのですけれど、「葉酸」を普段より多くとることで、赤ちゃんが恐ろしい神経管閉鎖障害(後述)という奇形になるリスクを減らせることが分かっています。
ビタミンB群の一種である「葉酸」は細胞の分裂や成熟に必要なDNAやRNA、タンパク質を作るのを助けて、お腹の赤ちゃんの発育に重要な役割を担っている栄養素なのです。
そのため厚生労働省も妊娠前から「葉酸」を普段より多くとることを勧めているのです。
いつから摂ればいいの?
厚生労働省が医学的な観点から、妊娠の1か月以上前から少なくとも妊娠3か月までの間は、葉酸を含めて各種のビタミンなどの栄養素を普段よりも多くとることを推奨しています。
どれくらい摂ればいい?
厚生労働省は普段の食事にプラスして0.4mg(=400μg)ほど余分にとることを勧めています。
これは諸外国と中国での研究報告を参考にし判断した結果です。
どうやって補えばばいいの?
厚生労働省は葉酸のサプリメントで補うことを推奨しています
というのは、0.4mgの「葉酸」を補充するには約350gの野菜を普段より余分に食べる必要があるのですけれど、いつも食べている野菜にプラスして350gもの野菜を食べるのは難しいからです。
平成29年国民健康・栄養調査では、日本人の1日の平均的な野菜摂取量は約288gですから、プラス350gでしたら638g!
野菜だけでお腹が一杯になってしまいそうですね。
毎日638gもの野菜を食べ続けるのはキツイでしょう。
そこで厚生労働省も諸外国の例にならって「葉酸」の補充をサプリメントですることを勧めているのです。
厚生労働省がサプリメントでの「葉酸」補充を勧めるもう1つの理由は、食物由来の「葉酸」とサプリメントの「葉酸」の生体利用率の差にあります。
食物に含まれている「葉酸」はポリグタミン酸型葉酸で生体利用率が約50%であるのに対して、サプリメントの「葉酸」はモノグルタミン酸型葉酸であり生体利用率は約85%と、サプリメントの「葉酸」の方が生体利用率がいいのです。
これが厚生労働省がサプリメントで「葉酸」の補充を推奨しているもう1つの理由なのです。
葉酸サプリメントを使うときの注意点
サプリメントを摂取しすぎると副作用が出ることがあります。
厚生労働省が推奨する「葉酸」の1日あたりの摂取量は1mgまでです。
これを超えてあまりに多く摂取すると、葉酸過敏症といわれる異常が生じてしまう可能性があります。
葉酸過敏症になってしまうと発熱やじんましん、皮膚の発赤、かゆみ、呼吸困難などが生じることさえあるので注意が必要ですね。
ただ、自分自身や赤ちゃんの父側の親族に神経管閉鎖障害の人がいたり、糖尿病であるとか抗てんかん薬を飲んでいる、もしくはBMI(肥満の指標で25以上が肥満)30以上の女性などは1mg以上の葉酸摂取がいいとされています。
そのような人は妊娠する前に産科の先生に相談しておくことをお勧めします。。
「葉酸」を摂取することでリスクを少なくできる可能性のある先天異常
神経管閉鎖障害
神経管とは妊娠4〜5週ごろに形作られる板状の脳や脊髄の元になるものです。
神経管が閉鎖して管状になることで脳や脊髄が形作られるのですが、この神経管が完全に閉鎖するのは妊娠6週末ごろと言われています。
日本人の赤ちゃんでは1万人あたり約6人が神経管閉鎖障害であると見積もられています。
重要な点は、神経管閉鎖障害の約50〜70%は十分量の「葉酸」を摂取することで予防できるとされていることです。
神経管閉鎖障害で大部分を占めるのが二分脊椎であり、性機能や膀胱、大腸の機能障害が生じることもあります。
さらに重度の障害が無脳症です。
神経管の上部に異常が生じて脳が正常に作られず、流産や死産してしまうリスクが高くなってしまいます。
口蓋裂・口唇裂
その他、口蓋裂や口唇裂といって、口の中の天井部分や口唇が裂けたようになってしまう先天異常も生じることがあります。
まとめ
妊娠前から「葉酸」を普段より毎日0.4r多く摂取することを厚生労働省も推奨しています。
先天異常の中でもとくに神経管閉鎖障害のリスクを低くする可能性が「葉酸」にあることが学術的に指摘されているからですね。
でも食事から毎日余分に「葉酸」を0.4rも摂取することは難しいので、厚生労働省もサプリメントで摂取することを勧めているのです。
同じサプリメントを使うなら、「葉酸」以外にも妊婦さんに必要な栄養素を多彩に含んでいるサプリメントを摂取するのが望ましいでしょう。
【参考資料】
- 厚生労働省, 報道発表資料, 2006年, 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について. https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-03c.pdf
- 日本小児科医会, 葉酸の日および葉酸摂取による神経管閉鎖障害予防月間周知のお願いについて. https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/jts_yosan_shuchiirai_180403tue.pdf
- 厚生労働省, 妊婦・授乳婦, https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114401.pdf
- 厚生労働省, 平成29年国民健康・栄養調査結果の概要. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdfl