ファスティングとは?
ファスティングは日本語の断食というよりは、もっとマイルドな方法を指すと考えてもいいですね。断食のように厳しいカロリー制限をせず、ゆっくりと体重を減らして長期間続けられるダイエット法です。
体に吸収されるカロリーを体が使うカロリーより少なくすれば体重は絶対に減ります。つまりファスティングすれば確実に体重を減らしてダイエットできるということですね。
ファスティングの代表的やり方
ファスティングにもやり方は色々あります。代表的なファスティングのやり方を簡単にあげると以下のようになりますが、これらは間欠的ファスティングというものです。
16/8法
これは1日のうち眠っている時間を含めて16時間なにも食べないというファスティングです。水とか紅茶、ブラックコーヒーなどは飲んでも構いません。
パドヴァ大学(イタリア)のMoro.Tらのアスリートに行った実験では、必要カロリーを減らすことなく食べる時間帯を8時間に限定するだけ(筋トレは併用)で、普通の時間帯に食べさせたアスリートに比べて脂肪をより多く減らせることができたんですって!
筋トレをするという条件付きですけど、食べる量を減らさなくても脂肪を減らせるなんてステキ!
戦士のダイエット
朝起きてから夕食までファスティングします。夕食までの間に少量の野菜や果物は食べていいようです。そして夕食は普段の夕食よりも多く食べて構いません。ただし、野菜や果物を含めて、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」などに示されているカロリー以上には食べないようにしましょう。それと精製されていない炭水化物か加工されていない食材を食べるようにするのが良いようですね。
5:2ダイエット・隔日ファスティング
1週間のうち2日だけファスティングする方法が5:2ダイエットで、1日置きにファスティングするのが隔日ファスティングです。ファスティング中でも500?600Kcal(ご飯をお茶碗2杯くらい)は食べていいというのですけど、2日間連続にしても1日置きにしても朝から晩まででご飯を2膳くらい以外は食べられないというのはわたしには耐えられそうもありません。
ファスティングの注意点
ファスティングをする上での注意点についていくつか挙げてみます。
1日の摂取カロリーは?
ファスティングしているときにどのくらいまで食べていいかはキッチリとした基準はないようです。しかし、厚生労働省が男女ともに標準としているBMI22.0の人が必要とするカロリーを超える量を食べてしまうと太ることになるはずです。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」で書かれている基準カロリー以上には食べないようにしましょう。1日あたりのカロリー必要量は性別や体格、年齢などで違ってきます。ネットですぐに探せるので一度見ておくといいと思います。
十分な栄養素を摂取すること
三大栄養素である炭水化物・脂質・タンパク質はもちろん、ビタミンやミネラルなど、健康を維持するための栄養素を十分に摂取する必要があります。カップ麺や菓子パンとかばかり食べていては、栄養不足になって体を壊すでしょうから、バランスよく各栄養素をとるようにしましょうね。
ダイエットの落とし穴
ダイエットするうえで知っておくといいことがいくつかあります。それは「体重が減れば減るほど太りやすくなる」「痩せている人がダイエットすると筋肉が減る」「食べるタンパク質の量を増やすと脂肪が減る」という3点でしょうか。
体重が減れば減るほど太りやすくなる
これは理解しやすかもしれません。例えば、短パンとTシャツでランニングするのと20㎏のリュックを背負ってランニングするのでは、どちらがエネルギーがいるか?つまりどちらが消費するカロリーが多いかをイメージすると分かりやすいですね。体重が減ってくると動くのに必要なエネルギーすなわちカロリーが少なくなってしまいます。
また、筋肉は何もしていなくてもカロリーを消費しています。体重が減れば脂肪だけではなく筋肉も少なくなります。筋肉は脂肪よりも多くカロリーを消費するので、筋肉が減れば消費カロリーも減ってくるのです。
それだけではすみません。動物の体は食べ物を食べられなくなると、体を維持するために必要とするエネルギーを少なくして飢餓で死ぬことを予防するのです。体自体が省エネモードになるということですね。
ですから体重が減れば減るほど、摂取するカロリーを少なくすればするほど体重を減らすことが難しくなります。逆に同じ量を食べていても太りやすくなるのです。
面白い動物実験があります。ペンシルバニア大学のBrownellらのラットを使った実験です。ラットに2回、カロリー制限による減量と再び普通に食べさせて体重を元に戻すことを行ったところ、2回目のカロリー制限で、1回目と同じだけ体重を減らすのに2倍の期間がかかったのに、体重をもとに戻すのには2回目は1/3の時間しかかかりませんでした。
また、19の研究論文を分析したシドニー大学のMackieらの研究によると、体重が減ったリバウンドして太ることを繰り返すと、体脂肪が増えたり将来的には体重が増えると言えそうだとのです。リバウンドすると筋肉が減ってさらにリバウンドしやすい体質になるようです!怖ーい…
痩せている人がダイエットすると筋肉が減る!
ロチェスター大学(米国)のForbesは、ダイエットすると、痩せた人は太った人より筋肉がより多く減ると報告しています。痩せた人が筋トレなどを行わずにダイエットすると、筋肉が減って太りやすくなってしまうのです。
食べるタンパク質の量を増やすと脂肪が減る!
食事で食べるタンパク質の割合を多くすると脂肪が減りやすいという研究があります。イリノイ大学のLaymanらは、タンパク質の多い食事をしたアスリートの方が、そうでないアスリートより脂肪が減る割合が大きかったと報告しているのです。もっとも十分な筋トレや運動をしてのことですから、高タンパク食と筋トレを一緒に行えば体の脂肪を少なくできるということですね。
まとめ
ここではファスティングの種類や注意点について書いてきました。ファスティングつまりカロリー制限をすれば確実にダイエットできるのですけれど、不健康な痩せ方をしないようにちゅういする必要があるということでしたね。正しいファスティングで健康にダイエットしましょう!
参考資料
1)Moto.T, et al, Effects of eight weeks of time-restricted feeding (16/8) on basal metabolism, maximal strength, body composition, inflammation, and cardiovascular risk factors in resistance-trained males. J Transl Med. 2016; 14: 290.
2)Brownell KD, et al, The effects of repeated cycles of weight loss and regain in rats. Physiol Behav. 1986 Oct;38(4):459-64.
3)Mackie GM, et al. Does weight cycling promote obesity and metabolic risk factors? Obes Res Clin Pract. 2017 Mar - Apr;11(2):131-139.
4)Forbes GB, Body fat content influences the body composition response to nutrition and exercise. Ann N Y Acad Sci. 2000 May;904:359-65.
5)Layman DK, et al. A reduced ratio of dietary carbohydrate to protein improves body composition and blood lipid profiles during weight loss in adult women. J Nutr. 2003 Feb;133(2):411-7.