オンライン資格確認の設定が終わって稼働状態となって、次はオンライン診療にチャレンジです。というのも、ゴールデンウィーク明けの今年5月8日から、新型コロナウイルス感染症は、インフルエンザウイルス感染症と同様に感染法上で5類となる予定です。それに伴い、早晩、「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い」が廃止される可能性が高いものと思われます。電話のみによる診察での処方箋の発行も停止される可能性が高いのではないかと考えています。しかし、テレビ電話などの映像を確認できる情報通信機器での診察は、今後とも促進されていく流れにはあり、利用者の利便性の点からも当院でも導入を検討することといたしました。
もくじ
オンライン診療システム決定要因
どのオンライン診療システムを採用するかの決定要因としては、「操作と運用のしやすさ」「導入の初期費用」「ランニングコスト(サブスク料金)」「患者さん側の負担する利用料」「患者さんのシステムへ心理的抵抗感」といったものがあります。ここで、私がネットで調べたり、実際にオンライン診療システム提供企業に問い合わせた結果に基づいて、私なりの決定要因を評定してみたので記事にしています。使い勝手については、YouTubeの動画が大変参考になりました。便利な世の中になったものですね。
操作と運用のしやすさ
これはどこもドングリの背比べ?かな。実際に使っていないので分かりませんけど、電子カルテと同じで慣れの問題だと思います。どこも同じでしょう。これは選定要因の大きな問題にしなくていいと思います。YouTubeで観る限りでは大手SNS企業と二番手老舗企業のものが使い易そうな印象があったものの、最初に述べたように慣れの問題でどこを選んでも一長一短ではないでしょうか?ただし、導入前後のサポートは、初期費用がかかってサブスクで定額負担のある企業さんのシステムが、段違いに安心だと推定はできそうです。患者さんが1日40〜50人以上は受診されるクリニックは「初期費用あり+サブスクあり」のシステムがいいかも知れませんね^ – ^
導入の初期費用
結果は以下の如くでした。具体的には各社に問い合わせると丁寧に教えてくれます!
- 80万円 1社
- 30万円 1社
- 0円 上記以外
オンライン診療には、
- 通信を始める
- 応答を待つ
- 診療終了後に処方箋を印刷する、
- 処方箋の送付先の薬局へのFAX送付状を作成して印刷する
- FAXを送信する
- 処方箋を薬局に郵送準備をする
- 領収書をPDFファイルにする
- 領収証のPDFファイルを患者さんに送信する
- 領収証を患者さんに郵送準備をする
- 郵送のために投函する
- 入金を確認する
- 未入金なら請求を行う
というような作業が必要になります。結構、大変です。途中で挫折するかもしれないので、初期投資は押さえたいところです。使いやすいオンライン診療システムがあったのですけど、数十万円かかるということと、後に言及しますが、カード情報を入力してもらわないといけないアプリをスマホに新たにインストールしてもらわないといけないという心理的ハードルの高さを考慮して、導入を断念しました。システムとしては一番使いたかったのですけど、仕方ありません・・・
ランニングコスト(サブスク料金)
各社のホームページに記載されています。料金は下記の如くでした。
- 毎月3万円 1社
- 毎月1万円 2社
- 0円 上記以外
いずれも患者の支払額の数%の手数料必要で、「手数料は大差なし」のようです。ほとんどの患者さんは保険診療で負担額自体が1〜3割です。その数%ですから売上の約1%程度の手数料ということになりますね。
当院では、オンライン診療の患者さんは多くても月間10〜15人程度と想定されるので、オンライン診療システム利用料に毎月固定で1〜3万円も支払っていると確実に赤字になってしまいます。ですから固定経費(サブスク)のかかる3社はサービスの質、とくにサポートの手厚さは大いに期待できたのですけど、涙をのんで諦めることにしました。
患者さん側の負担する利用料
オンライン診療は、診療報酬が対面診療に対してすごく低く設定されているので、オンライン診療システム導入と運用に伴うコストを利用者の方々に負担していただくことが厚生労働省からも認められています。この負担額は医療機関によって自由に決めていいのですけど、ネットで調べ得た範囲では1,000〜3,500円くらいのようです。
これとは別に、オンライン診療システムを提供している会社自体がシステム利用料として1回の利用当たり数百円を患者さんから徴収する会社があるようでした。徴収しない会社ももちろんあります。患者さん側からすると利用料がかからない方がいいのは当然でしょう。しかし、その分を医療機関側から徴収すると、医療機関の利用(シェア)が減って、やがてそのサービスがなくなってしまうリスクがある点には注意が必要です。オンライン診療では、
- 移動しなくていい
- 自宅でも外出先でも旅先でも診療を受けられる
- ・・・受診のため出張や旅行を止めなくていい!
- 病院までの交通費を払わなくていい
- ・・・交通費の方が負担が大きい方にはメリットが大きい!
- 病院での待ち時間がない
- ・・・少なくとも自宅で好きなことをしたり職場で仕事をしたりして待っていられる
- etc.etc.
これらのメリットを考えると、数百円の負担増より継続性を担保できることのメリットが大きいという結論に傾きました。
患者さんのシステムへ心理的抵抗感
オンライン診療を行うに当たって、私がもっとも気になったのが、この要素でした。というのも、オンライン診療システムの決済の殆どがカード決済です。患者さん側からすれば、
- 聞いたこともないアプリをインストールする
- しかもカード情報を入れる
- セキュリティコードまで入力する
という心理的ハードルはもの凄く高いのではないかと思ったのです。疑り深い私なんかはインストールしたくありませんし、セキュリティコードなんて絶対入力しません!しかし、医療機関との信頼関係があれば、信頼している主治医からの申し出であれば、インストールもカード情報の入力もするでしょう。そこまでの信頼関係が築けているかがポイントになります。ここまでの関係が築けているのは、多くの医療機関で患者さんの3分の1から5分の1くらいではないでしょうか?
当院の結論
当院での結論がどうなったか?ズバリ、lineドクターを申し込むことにしました。審査があるので、通るかどうかは分かりませんけど、申請いたしました。一応、理由を申し述べておきますと、以下の如くです。
- 殆どの人がlineを利用している安心感
- ・・・lineというアプリの心理的抵抗感のなさは圧倒的です!
- アプリをインストールする必要がない
- ・・・8900万人が利用中というので殆どアプリの追加の必要なし
- ・・・lineにサービスで「lineドクター」を追加するだけ
- ・・・Google Chromeに拡張機能を追加するような感じですね
- QRコードをスマホでスキャンすすだけで予約ができる
- ・・・QRコードはlineドクターにクリニックが登録されてから発行されます
- ・・・スマホのカメラを起動するだけで予約!
- lineオリジナルのスターターキットが提供される
- ・・・lineが作るステッカーやポスターが入っている
- ・・・lineブランド化錯覚効果でイメージアップ
- 初期費用が無料
- ランニングコストなし
- 医師免許証の確認や本人確認など審査が厳格で安心
- セキュリティが確実
- データセンターが日本に完全移行されている
- 親会社がSoftbankとの合弁会社になっている
さてさて、lineドクターの審査が通るのやら通らないのやら、審査結果には1ヶ月ほどかかるにだとか。ユックリ待つこととしましょう^ – ^
ご報告(記:2023/02/23)
2023年2月4日に申請して、2月22日に医療機関アカウント登録発行完了のメールが送信されてきました。約1ヶ月ほどかかると言われていましたので、少し早かったですね。スターターキットや認証コードは後日(1〜2週間後)郵送されてくるとのこと。あとは「PC端末の接続機器テスト」と「テスト診療」を行うのみなのですけど、「認証コード」を設定しないとこれらのテストができないようです。認証コードが送られてくるのを待つしかありません。運転免許証の画像やら医師免許証の画像やらを送信しラリ、結構、手続きに手間がかかります。登録にも予想より早かったにしろ時間はかなりかかり、登録後の設定もちょっと手間かなあ?って印象です。でも、やはり患者さん側からするとLINEというのはとっつき易いと思うのですけど・・・
余録
厚生労働省指定オンライン診療研修も無事修了致しました。