熊野先生の講演からの学び

2018年9月13日、ヒルトン福岡シーホークにて熊野宏昭先生の「マインドフルネスと心身医療」という講演を聴きに行ってきました。

熊野先生とは全く面識がないのですけれど、その講義をYoutubeなどで拝聴してファンになっていたため、「生」熊野体験をしたくて参加した次第です。

熊野先生は、ラサール→東大医学部→・・・→東大准教授→早稲田大教授というエリートコースを辿られている方ですが、日本でのアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の第一人者であり、マインドフルネス瞑想にも造詣が深い先生として知られています。

講演時間が1時間しかなかったため駆け足での講演となりましたが、いくつか「へーっ!」というところがあったので忘れないように書いておこうと思います。

人の注意力には限度がある!

これを注意資源というのだそうです。

僕流の解釈では、「人は一度に1つのことしか考えられない!」ということでしょうか?

例えば数を数えながら小説を読んだなら、そこで描写されている光景や人の心情を思い描きながら読むことができなくなるのです。

熊の先生が講演で僕たちに自己体験させた例は、

スライドに歌「チューリップ」の歌詞を映して、足の裏の感覚を感じながら「チューリップ」の歌詞を読むというのもでした。

足の裏の感覚を感じないでただ歌詞を読んだときには、メロディーが浮かんだり、チューリップが咲き乱れている光景が浮かんだりするものですが、足の裏の感覚を感じなが読むと、そういったイメージが湧いてこないのです!

これは今すぐあなたにも体験できるものです。

じつはこれが、思考によりなにも追加せず(余計なことを考えず)現実をありのままに見るということ、すなわち「マインドフルネス」ということになるのだそうです。

思考に飲み込まれなくなるのだそうです。

「マインドフルネス」については別の記事を用意する予定ですので、興味のある方は少々お待ち下さい。

不安とデフォルトモードネットワークの関係

現在、何も考えずぼーっとしているときにも、脳は活発に活動していることが分かっています。

この活動をデフォルトモードネットワークと言います。

デフォルトモードネットワークは、問題の処理アイデアの熟成に大きく関係すると考えられていますが、不安にも関連のあることが分かってきているのというのです。

熊野先生のお話では、不安になっているときや困ったことを何度も何度も繰り返して考えるとうな人では、デフォルトモードネットワークの活動が高まっているとのことでした。

普通のやり方、例えば「こんなことを考えても意味がないので気にしないようにしよう」とか言い聞かせて気もちをコントロールしている人の場合は、前頭葉(思考の脳)の活動が増えて扁桃体(情緒の脳)の活動が低下します。

つまり、思考で感情を抑えているということですね(微妙には違うのですが非常に分かり難いのでこのように書いておきます)。

ところがマインドフルネスでは前頭葉の活動も扁桃体の活動も変化がない代わりに、デフォルトモードネットワークの活動が抑えられることが分かっているということでした。

これが本当だとすると、不安などの精神的な症状を和らげる効果がマインドフルネスでは通常とは異なるのメカニズムで生じているということがになりますね。

運動は気分に効果がある!

ウォーキングは実際に気分を改善する効果があります。

熊野先生のお話では、30分ウォーキングすると2〜3時間は気分の改善得られ、さらにウォーキングを習慣づける「うつ」がよくなるとのこと。

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)とは?

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)というよく分からない治療法があります。

これを乱暴に説明すると、人の情緒的な乱れは次の6つの要因によって生じ、それを正すのがACTという治療ということにでもなるでしょうか。

6つの要因とは、

  1. 過去と未来の優位性
  2. 認知的体験の回避
  3. 認知的フュージョン
  4. 概念としての自己への執着
  5. 価値の不明確さ
  6. 行動の欠如

それぞれに対して、以下のような対処を学んで行くというのです。

  1. 内容としての自己へのとらわれの解消→「これが私だ」にとらわれすぎて「過去の良さの過大視や過小評価」と「未来へのネガティブさの持続や悪化」を真実であると思い込むことに気づき「今ここに気づく」ようにする
  2. アクセプタンス→「嫌な感情・思考・状況」を「受容」する
  3. 脱フュージョン→「思い込み・考えすぎ」に「気づき」「ネガティブさの実際の大きさを判定」する
  4. 文脈としての自己→「これが私だ」に生じている状況において「これが」「こうなって」だから「こうなっている」という視点を持って注意のフォーカスを広げる・他人の視点にフォーカスすることなども含まれる
  5. 価値の明確化どうありたいのかの明確化
  6. コミットメント価値に重きを置きそれに向かって行くと決意しその方向へ行動すると決意する

難しいですねぇ…

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